2021/09/26 17:58


おぼろげな記憶だけど、デヴィッド・バーンの語ったこの舞台の主旨は以下のようなものだった。

「人間がもっとも目を向けているのは(注目してしまう対象は)他の人間だ、人間は本当におもしろい、だからあらゆるものを削ぎ落とした結果、(舞台には)人間だけが残った」


終始、バイーアで見たサンバヘギ、レシーフェで追ったマラカトゥの残像が劇中重なっては止まらなかった。

どれ程進化したつもりでも、もっともミニマムで究極的なものは、鍛え上げた人間それ自身が織りなすものに行き着いてしまう(廻っては戻ってしまう)んだろうと思った。


肩から楽器を担ぐ演奏者は、身体の自由を得て躍動していた。ブラジルで魅了された「見せる音楽(=身体表現の音楽)」、それが最高峰であることを、おさらいするようだった。

最後に観客席に割って行進していく様も、聴衆を巻き込むあの暑い路上の、いつまでも終わらない演奏とダブってしかたなかったのだ。


人と人が執拗なくらいに距離を採ることが強いられる時代を経て、その揺り戻しが起こることをこの映画の反響は示唆しているようにも思った。


#アメリカンユートピア #みなみ会館